これも最近多いですね。いわゆる背取りです。もともとは、無知な古書店で安価に売られている希少本を購入し別の古書店へ売って差額を得る商売の事でした。現代のセドリはネットと新古書店を使います。ブックオフなど新古書店で相場以下にて売られている本を買い込んで、Amazonなどのネットで販売します。肝心の相場価格は携帯電話でAmazonなどにアクセスして調べる事ができるので、誰でも今からでも始められるところがポイントです。実際テレビや雑誌で取り上げられた事もあって、小遣い稼ぎに背取りを始める人が急増しています。そうした人たちの活動と比べてどうなのでしょうか?
普通のインターネットショップとどこが違うの?で述べたの内容と同じです。
メリット
デメリット
2005年はセドリが大流行し2006年には一般化し、そして素人の副業向けビジネスとしては終焉を迎えたようです。多くのセドリはブックオフで購入しAmazonマーケットプレイス(AMP)で販売します。その結果何が起こったかというと、AMP相場の大暴落でした。ちょっと前に流行した本をAmazonで検索して見ると分かりますが、軒並み1円などのかなり低い価格となっています。105円で買って1円で売っては当然赤字です。厳密には、Amazonの会員種別によっては1円販売でも100円程度の手数料差益を見込めます。しかし105円で購入していたら、やはり赤字ですね。それでも、既に仕入れた本を捨てれば只だし、100円でももらえるならましだと考える人が多く相場の下落に拍車を掛けているのでしょう。
せどりのうたい文句はこうです。誰でもすぐ始められる。簡単にできる。高額本を見つけたら儲かる。しかし、これには明らかな矛盾があります。もし本当に誰でも簡単に儲かる方法があるなら、多くの人がそれを実行するはずです。ブックオフの105円コーナーに高額本が出回るのは確かですが、誰でも携帯で簡単にそれを発見できるのなら、もう誰かが発見しているでしょう。妥協してそこそこの本を仕入れてAMPに出したとしましょう。多くの人がそのそこそこの本を出しているはずですので、供給過多になりなかなか売れません。同じような古本なら単に安い物から売れるでしょう。短気な出品者たちは自分の本を早く売り抜きたいので最安値更新競争が始まります。競争の間に何冊かは売れるでしょうが、もともとかなり供給過多でしたのでついには最安値が1円に達し、競争は終わります。こうしてブックオフで普通に手に入るような本はセドリ対象外の相場に落ちます。慣れてきた人達はますますチェック技術に磨きを掛けて素早く大量に探すようになるので、高額本はますます手に入りにくくなくなるでしょう。これが2005年に実際に起こった事です。
一体なぜ、誰にでもできる夢の副業・セドリは崩壊したのでしょう?
まず、誰にでもできるという点が問題でした。確かに、この副業のWebリサイクルショップも誰でもできると説明しています。しかし、本当に始めるには古物商の取得から始まって開店準備や日々の買い取りなど、「それなりの実務」をこなす事が必要です。やる気のある人には実行できるという意味です。セドリは違いました。本当に誰でも、その日に立ち読みの雑誌でセドリを知った会社帰りのサラリーマンでも、買い物帰りの主婦でも、暇な学生でも再就職待ちの定年退職者でもその場ですぐに開始できるのです。中には母親が就学前の子供達を連れて新古書店で根こそぎ探索をしているような例もあるようです。ちょっと暇があればブックオフによって、実行できるのです。また、誰がやっても作業内容に大きな違いはありません。となると後はできれば避けて通りたいコスト勝負になる訳です。自らの人件費相当額を下げてローラー作戦を行うのが唯一の勝ち目なのですが、それでも、これだけ大量に暇つぶしでもいい・安くてもいいと思う人が発生すると絶対に勝てません。仕入だけではありません。AMPでの登録販売も全く手間が掛かりません。Web上でクリックして金額を入力するだけですから、これも誰でも可能です。
次に販路が劣悪という点が問題でした。AMPでは、購入者との金銭取引をやってくれるので出品者は発送を行うだけです。その代わり売り方はAMPが指定した方法しか選択できません。しかもその方法というのが、個別の書籍ページで、その古本を価格順にリストしているのです。ほとんどの人は一番安い本を買うでしょう。実際、私もAMPでの販売実績の8割以上が最安値状態での販売です。こうしたページに掲載される以上、中古本の価格が下がらない方が不思議です。オークションなどや自分のショップサイトで販売するとこの問題は幾分か解消されますが、その分販売情報の作成にコストがかかります。
セドリという副業について素朴に考えてみれば明らかな事があります。ブックオフはその本を105円で売っても儲かっているし、Amazonは販売者が1円で取引しても手数料が儲かる、という事です。よくよく考えると、やはり他人の土俵なのです。仕入値も売り値も他人に握られている、価格決定権のない商売が儲かるはずがありません。
我々の副業リサイクルショップは、古本にしろCD・ゲーム・ビデオにしろ、個人から買い取りますからブックオフと同じ立場です。幾らで買い取るかは、完全に自分の勝手で決められます。1円でも0円でもいいのです(もちろんその値段で売ってくれるかどうかは相手次第ですが)。相場が低いならそれなりの値段で買い取ればいいので、無茶な値付けをしない限り、買い取って赤字、という事は原則ありえません。実際には、いろんな理由で買い取り価格にも色を付ける場合もありますのでケースバーケースですが。
ブックオフなどの新古書店で見かける本・Amazonにページのある本は、当然、この世の本のすべてではありません。むしろここしばらくの間に出版された新しい本だけです。通常買い取りしてくる本の半分〜2/3程度はAmazonにページが無い古い本、または誰もAmazonに出品していない様な本なのです。明らかにこれらの本には競合がいませんし、お気楽セドリが参戦してくる可能性も少ないですし、激しい価格競争に巻き込まれる事もありません。
結局販路も価格ももっとも自分に有利なように好きに選べる訳です。
もちろんデメリットもあります。
買い取ってきた本なら売れるというわけでもない事です。買い取ってきた一山の本の中で、一冊もまともな値段が付かなかった事も何度もあります。
また、ブックオフ&のセドリは作業量が少なくて済みます。買い取りはともかく、AMPへの出品は本当に手間が掛かりません。
まとめると、ブックオフなどでのセドリ仕入は既に崩壊しています。コストに見合った仕入は難しいでしょう。しかし販売にAMPを使う事は、場合によってはメリットが大きくどんどん利用すべきだと言えます。
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