買い取りに行こう


手持ち商品だけでは開店後、長い時間はもちません。買い取りに行きましょう。

1. 予約を受ける

チラシを配って、効果が出てくると、おそるおそるといった感じで、電話が入るようになります。不要品をもった査定希望のお客さんですが、「配布チラシの携帯に電話する」という、よく考えれば思いっきり不安のある行動を取っているわけで、受け答えでは、まず安心して頂くことが肝心です。

受け答えのポイントは、基本的にはビジネスの電話での会話と同じです。まず名乗ること、電話を掛けてくれたことに感謝を述べること、一方的にしゃべらず、お客さんの話をよく聞くこと、お客さんに伺ったことは必ず復唱して確認すること、などです。

初めてのお客さんは、特に、システムについて不安を持っていらっしゃいますので、しっかりと説明します。特に、ご自宅までご希望時に無料で査定に伺うこと・査定金額か不満なら一切お売り頂く必要がないこと・どういう結果になってもお客さんは一切お金を支払う必要がないこと・買い取りできない種類の品物もあること、などです。

事前調査として、買取希望品の種類と全体の量を尋ねます。自分が扱えない種類の商品の場合はその旨伝えます。また、可能なら、おおよその単価を伝えます。単価はあくまで参考、商品を実際に見ないと正確には決まらない旨をきちんと伝えます。一般的には、査定にお宅に伺うと、追加で査定希望品が増えているものですが、一応買取予算として確認しておきます。

高額そうな品については、メーカー・型式・程度などできるだけ詳しく伺っておきます。

お客さんの希望する日時を尋ねます。ここで自分のスケジュール手帳を開き、他の買取予約や本業・プライベートの予定とバッティングしないように調整します。

最後に、お客さんの、お名前・住所・電話番号を伺って、ご依頼内容をすべて復唱し、買い取りに伺う直前に電話を入れる旨を伝えて電話を切ります。

電話はメモを取りながら伺い、後で手帳にきちんと書き込んでおきます。

電話での応対が不慣れな人は、あらかじめ想定問答集を作成しておいて、何度か発声練習をするとスムーズにしゃべれるようになります。これは本当にお薦めです。練習するのとしないのでは、口のなめらかさが自分でも驚くほど変わってきます。

2. 出発前のチェック

・依頼内容を判断します

可能なら住宅地図(住んでいる人の名前が記入された、町内図みたいなもの)を手に入れて、訪問先を確認します。台車で直接買い取りに伺う人は通過ルートを、車の人は停車場所を確認します。また、伺った情報を元に依頼された買取品の相場を調べます。

・出発前に、買取七つ道具を用意します

古物営業許可証

古物営業法で義務づけられているので、買い取り時には絶対に携帯します

現金

行ってみると電話で聞いていた時より品が増えていることが多いです。また、人間は50以上の物体の個数を見積もる時には実際よりかなり少なめに感じる事が多いので、現金は多めに用意します。本が100冊ぐらいあると言われたら、実際には300冊はあるでしょう。概算で見積もってもらった数字が50以上の場合には、大体聞いた数量の3倍あると思って間違いないです。また、予算+9,999円と小銭をちゃんと用意します。

訪問先をメモした手帳

迷子にならないように。また迷子になっても場所を聞けるよう電話番号も記入しておきます。

携帯電話

お客さんと連絡を取ります。

確認書類と記入用のペン

お支払いする前に、査定と査定金額に同意した旨を記入した書類に署名してもらいます。いわば領収書です。詳しくは後章で説明します。ペンを忘れると記入できません。予備のため2本ぐらいあると安心です。

台車と荷造り用品

台車には油を差しておきましょう。ダンボール・シート・毛布・荷台ロープなど用意しておきます。

チラシ一束

買い取りのついでに近所にチラシ配布すると効率的です。また、紹介で電話番号だけ聞いて依頼してきたお客さんなら、チラシを渡しておきます。査定にかなり満足してくれたお客さんには、お友達をご紹介下さいと言って、数枚渡しておくと紹介が期待できます。

・直前に電話して在宅を確認します

急な用事が入ってその日の査定を忘れていたり、キャンセル希望だったりする場合もあります。家の前まで行って空振りしないように、これから伺う旨電話して確認します。キャンセルの場合は、時間があればその場で、代替予約日を決めます。忙しそうなら、電話を掛けてくれるようにお願いしておきます。

・買取先を必ず分かるようにしておきます

現金をもって出かける買取は、ある意味危険な仕事です。必ず、訪問先・電話番号と帰宅予定時間を、紙にメモして自宅においておくなど、他の人にもどこへ買取に行っているのかが分かるようにしておきます。

3. お宅に伺う

お客のお宅に到着したら、名前を確認します。不審な点がないかどうかも確認します。

予約の時間に訪問し、名乗って来宅の意を伝えます。

台車や車を家の前など付近においておく場合は、一言断っておきます。

きちんと挨拶し、靴は揃えます。

失礼にならないように、室内をそっと見回し、不審でないか確認します。

査定額の調整や今後の買取が期待できるかどうか判断するために、生活状態や家族構成を推測します。もちろん、失礼にならないように、そっと行います。

黙り込んでいては不安がられるので、きちんと世間話をします。苦手な人は、あらかじめ想定話題集を作成して、何度か発声練習しておくと、自分でもびっくりするぐらいスムーズに会話できるようになります。

4. 査定する

査定時ポイントは次の通りです。

・範囲をはっきりさせる

査定品はたいがい一部屋にまとめて準備してもらっていることが多いですが、最初に、どこからどこまでが査定希望品かをきちんと確認します。これをしておかないと、隣に置いてある、売るつもりのないストーブ等まで査定してしまうはめになります。この手のミスは実際に何度もあります。

・買い取れない商品は分けておく

自分が扱えない品は、別に分けて、ごっちゃにしないようにします。

・査定の済んだ品は分けておく

品が多いと、ちゃんと分けておかないと、どこまで査定したか分からなくなります。

・よく分からない商品は質問する

よく分からなくて値段が付けられない時は、素直に尋ねます。

「これ一体何ですか」から、購入価格・購入店・購入時期・使用程度など、参考になると思うことを尋ねます。

ただし、鵜呑みにはしてはいけません。たとえ悪意が無くても、人間誰しも間違えたり忘れたりします。

取扱説明書・保証書・電源コード・リモコン・元箱など、そこに出ていない付属品が予想される場合には、有無を確認します。

・一種のサービス業です

お客さんによっては、一つ品を手にする度に、「それは12年前にお父さんと旅行に行った時にね…」と「蘊蓄」を語ってくれる方もいますが、決してうるさがってはいけません。査定を続けながらでも、きちんと相づちを打って拝聴します。時には、手を止めてきちんと目を見て受け答えします。

査定の参考になる場合もありますし、そうでなくとも、一種のサービス業と割り切りましょう。

こうしたお話好きのお客さんには、一人暮らしなど寂しい思いをしている中高年が多いようです。話を聞いてもらい、会話ができるのが楽しみのようです。こうした会話で十分満足してもらえれば、リピートも期待できますし、もし査定額が多少安かったとしても納得してくれます。時にはあまりに感激され「お兄ちゃん、長々と話を聞いてもらって悪かったね。お詫びにこれただでいいから持って行ってよ」と、新たに高級品をごそごそ出してこられることもあります。

・価格交渉をうけたらどうするか

10人中、8人ぐらいのお客さんは、こちらの査定額に二つ返事でご了承頂けます。

逆に、それぐらいの値段が適正です。10人全員がよろこぶ金額は、多分高すぎです。また、半分以上の人が不満を持つ(価格を告げた瞬間の、一瞬の表情や間で判断できます)金額は、安すぎです。

確かに安く買い取れれば得ですが、リピートや紹介が期待できないばかりか、マイナスの口コミが広がる恐れもあります。さらには、低すぎて断られてしまったら、査定に掛けた作業時間が全くの無駄になってしまいます。

普通の常識人では、いくら無料査定と謳っているとはいえ、モラル・見栄・体面などから、わざわざやってきた業者に向かって「そんな値段なら嫌」とは断りにくいものです。つまり、いくら断る権利を持ってはいても、買取査定を依頼した人の立場はかなり弱いものといえます。その弱さを十分に配慮した査定ができると、リピートや紹介が期待できるようになります。

また逆に、査定額を告げた時に、「えっ!たったそれだけ?!」と驚いて「もうちょっと何とかならないの」と買い取り額のアップを要求されることもあります。

受けるかどうかは、状況とあなたの判断次第ですが、次のことは考慮しておきます。

安易に査定額を変更すると、じゃあさっきの査定額は適当だったの?というイメージを与えます。

また、一度値上げを許すと、リピート時にも確実に値上げを要求されるでしょう。また、「ゴネ得」情報が近所に伝播する可能性があります(いくら、今回だけ奥さんだけですよ、と言ったとしても)。

どうしてもしつこく明らかに無理な値上げを要求されたら、対処は簡単です。「すみません。それ以上は出せないので、お買い取りできません。ごめんなさい」とあっさりと述べて立ち去りかけましょう。10中8,9、値上げ要求を引っ込めてくれます。

・できる限り迅速に引き揚げましょう

出張買取査定中は、100%、本業等の他の作業ができないロスタイムです。この時間は短ければ短いほど、望ましいと言えます。

かといって、乱暴なほど慌てて査定し、奪うように買い取ってくるのは逆にマイナスです。

てきぱきと作業効率で勝負し、あくまで接客は落ち着いて和やかに行います。

5. 確認書類に記入してもらう

査定額に納得してもらえれば、買い取り成立です。双方笑みがこぼれる瞬間ですね。

日付、簡単な商品の点数、総買取査定額、総支払額などを記入した「確認書」とペンを渡し、住所氏名を記入・署名してもらいます。この確認書には次のような文言を入れておいてお客さんに目を通してもらうといいでしょう。

「私は査定額に同意し買取を依頼しました」「上記金額を確かに受け取りました」「取引成立後は理由の如何を問わず一切返却請求しません」

6. 支払い

記入して頂けたら、記入内容を確認し、お支払いをします。

うっかりして、気前よく査定した金額の持ち合わせがない!等と格好の悪いことにならないようにします。私は恥ずかしい事に、実際にあります。銀行に行ってお金をおろしてくる間、待っていてもらいました。また、買い取り用の財布を持ってくるのをうっかり忘れて、たまたま別に持っていたポケットマネーで立て替えたこともあります。

お金をお渡しする際には、必ずお礼を述べながらきちんと両手でお渡しします。

お渡しした後は必ずその場で渡した金額を確認してもらいます。

7. 運び出し

買い取った商品を、頭の中で素早く組み合わせ、どう積み込んだら安全に効率よく運べるか、パズルを解きます。

持参したダンボールを運び込み、組み立てて小物などを運びやすいように、箱詰めします。当然、割れ物などには注意します。

運び出しの際には、お客さん宅の壁や床や家具などに、傷を付けないように十分注意します。玄関の扉はできれば開け放させてもらうのがいいでしょう。

台車に荷物を積む際には、上に軽いもの、下に重いものを載せます。また、手前(押し手がある自分側)に重いものを、先頭側に軽いものを載せると、バランスが良く動かしやすくなります。

お客さんがあらかじめ不要品を箱詰めして保管している場合も多いものです。「ダンボール・袋ごとでいいですか」と確認後に、遠慮無くもらっていきましょう。ダンボールは発送に使えて無駄になりません。

逆に気を付けないといけないのは、プラスティックの衣装ケースなどです。運びだそうとして、「えっ、ケースはおいていって」と言われることがあります。当然査定額にも入っているわけですが、返すしかありません。こうならないよう、査定前にあらかじめ確認しておきましょう。

8. 運搬

いくら台車でも、積み過ぎは危険です。小物中心の営業だとしても、数が大量にある場合もあります。一度で運べない時はあきらめて、何往復かさせてもらいましょう。途中で荷崩れや、脱輪することを考えれば、かえってその方が効率的です。

積み込んだダンボールや品には、傷が付かないように毛布を掛け、荷台ロープできつくくくります。もちろん少量で数メートルの近距離なら必要ないですが、マンション内などで結構長い距離を移動する場合には、くくっておくべきです。エレベーターの扉やほんの小さな小石等に勢いよくぶつかって、荷崩れを起こすとかなり危険です。

雨の日には、濡れないようにシートを掛けておきます。

9. 在庫整理

自宅に持ち帰った商品は、仮置きできる安定した場所に移しておきます。

雨の日に台車を使った後は、きちんと拭いて油を差しておかないと錆びます。

さあ、これで買取が完了しました!

後は、本業の空き時間を見ながら、あなたのペースで、こつこつ在庫整理と商品の登録を進めていけばいいでしょう。


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